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友愛の歴史社会学/葛山泰央

2009.10.06 - 社会学
卒論関係で読みました。

なかなか難しいのですが、おもしろかったです。


言説化される友愛を歴史社会学的に「普遍化される友愛」「稀少化される友愛」「凡庸化される友愛」と展開することを説明している。

古代ギリシア社会で友愛が社会秩序を可能にするものと想定されていたのは、それが中心化れて考えられていたのだが、近代つまり「機能的に分化する社会」おいては、脱中心化し、友愛が社会秩序を可能にする原理にはなりえず、もっぱら私的な「社交的なもの」の中に追い込まれていった。


ここからわかるように、本書はルーマンの『社会システム論の視座』をベースにしているようだ。

この本も面白そうだし、あまり分量もないので読んでみたい。


さて、手紙の言説空間において、手紙の交換という限定された閉じた関係性なのに、それが文書化されているが故に必然的に、それが第三者によまれる、第三者からの介入可能性を想定される。それゆえ、そのような言説空間では、友愛は普遍化される、つまり、理想化される。

当然理想化された友愛は、自己破綻する。要するに、そんなもん奇麗事にしか過ぎないことは、それを言説化する当人が一番わかっているのだろう。


そうすると、友愛を稀少化する。心情の吐露という形で友愛が言説化される。告白の言説だ。


しかし、稀少化された友愛は、「真の友愛」で想定されない友愛関係を排除しはじめ、その「真の友愛」を志向するが故に、その希少性の凡庸さが露になり、自己破綻する。

凡庸の友愛。それは、「真の友愛」を取り込むことで、凡庸化し、それを延々に繰り返すことになり、友愛は言説化されることで、凡庸の堂々巡りに陥ることになる。


近代フランスにおける言説空間を分析の対象をしていて、言説分析の面白さと、歴史社会学のおもしろさを、本書は教えてくれた。
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いちひろ
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男性
誕生日:
1988/02/01
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大学生
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読書、バックパッカー、水泳
自己紹介:
三重県鈴鹿市生まれ。

小中高生の時期を大阪府で過ごす。

現在は京都府在住。

ラテンの血を引く。専ら、沖縄出身とか東南アジア出身者とかと間違われる。
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