ジェーン・オースティンの『自負と偏見』を読みました。これも過去のレビュー、感想文に大きく手を加えたものです。
中村好夫の名翻訳のものを読みましょう。
舞台はイギリス摂政時代。よくヴィクトリア朝と勘違いされるらしい。
当時のアッパーミドルクラスの人々の生活スタイルがよくわかっておもしろい。
ジェーン・オースティンは、小説の中の世界をできるだけ現実世界と同じようなものにしようとしたので、当時の人々の階級意識など、なかなか表徴されてもわかりにくいものを知るいい資料になるそうだ。
このレビューで当時のアッパーミドル階級の階級意識の問題が複雑に結婚や財産の問題に関わっている云々については触れることはしない。(散々英文学のレポートで書いたので)
『自負と偏見のイギリス文化 Jオースティンの世界』(新井潤美著 岩波書店)がそれに詳しい。
ジェントリー階級の古くからの資産家で年収1万ポンドのダーシー。
当時のジェントリー階級は資産からの収入でのみ生活を立てていたのだが、同じ階級のものでも、親戚に職業についているものがいれば、ことごとく軽蔑する。
つまり、ダーシーは、階級意識から、また自分は紳士だという誇りから、ものすごく「自負」心が強い男。
一方で、同じジェントリ階級とはいえ、さほど裕福ではないエリザベス。
母や妹たちの品行の悪さに悩まされ、専ら社交界で嘲笑の的に。機転がきき、芯が通っているエリザベスは、ダーシーは自分達をはじめ、身分の低い(といっても同じアッパーミドル階級だが)人たちを馬鹿にし、ひどい仕打ちをする、紳士とは全く正反対のものだという「偏見」をもつ。
この、
プライドの高い男 と 偏見をもった女
が、いかにして、自分の頑なさに気づき、お互い惹かれあっていくのか。
が本作品の眼目ですね。
これが、当時のイギリス文化という枠組みの中で繰り広げられていく。
実におもしろい作品。
本作品で、「愚かな女」がよく出てくる。
なかでも、エリザベスの母、ミセス・ベネット。彼女は自分の娘をはやく嫁に出すことしか考えてない愚かな女として描かれている。
彼女に皮肉をいうミスター・ベネット、それにすら気づかないミセス・ベネットのやりとりは痛快そのものだ。
ああ、俺もこんな恋愛がしたいなと思いました。
自分のプライドなど、あなたのためなら取るに足りない!むしろ、あなたを好きでいられること、それが俺のプライドだ!みたいに思わせてくれるような人と出会いたいと思いましたね~
ま、それにしても、エリザベスみたいに、あまり知らない人に偏見を持つことはよくないですよね。
せっかくの出会いも台無しになってしまいかねない。
なかなか難しいことだけどね~
でも逆に、気に入った人を勝手にいいように解釈するのもよくないよね。
ほんで、よくよく知ってみると、自分の理想とは真逆だったってこともありえますからね。
そして自負の問題。
プライドって生きていく上ではとても大事だと思うけどね。
だからといって、プライドが高くて、虚栄心で、取るに足らないことを何でも自慢したがる人があちこちにいるけど、人を不快にさせるほどのプライド、虚栄心をもつって、すごく不幸なことですよね。本人はいい気になっているもんだから、忠告する気にもなれないけど。
プライドは隠してなんぼ、自然と威厳が伝わるぐらいじゃないとなあ。
明らかにプライドを鼻にかけたダーシーをエリザベスが嫌悪したのと同じように、いくら地位や名誉あっても、それを鼻にかけたり、あからさまな横柄な態度をとる人は、紳士じゃないですしね~
「自負」と「偏見」が恋を邪魔するなんて、なにも18世紀のイギリスに限ったことじゃない。
だから、そのことを延々に語っても、きりがないので、ここまでにしとく
この問題は現代の恋事情にも十分、当てはまるし、
今、恋している人には特に読んでもらいたい作品だと思う。
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